チューリップぐみを一番初めに作ったのは、小さな子を持つお母さんたちでした。

「今、この子たちに何が一番大切で、何が一番必要か」をみんなで考えました。


 2~4歳というこの時期だからこそ必要なこと、それはお母さんとのふれあいだと考えました。

 女として生まれ、子どもを産み、母にはなれます。しかし母=母親ではありません。母親になるために、私は子どもを育てているのだと思います。子どもと共に生きることで、親にしてもらっているのだと思います。

 親は子どもより長く生きている分、子どもに伝えられるものをたくさん持っています。子どもにそれらを伝えて活かしてほしいと願い、子どもたちを育てるのではないでしょうか。

 その基盤づくりの時期、それが幼児期だと思います。

 

 母乳を赤ちゃんに与える時、お母さんは自然に赤ちゃんを見つめます。お母さんの手からミルクをもらう赤ちゃんは、お母さんの顔を見つめます。目と目が合い、優しい言葉をかけられながら、赤ちゃんはお母さんと信頼関係を作り上げます。

 離乳期にも、お母さんは子どもの口へと一さじ一さじ運びながら、「おいしいね」とか「モグモグよくかんで食べようね」など、声をかけています。

 

 ところが、子どもが自分で歩き、自分でごはんも食べられるようになると、目と目を見つめ、1対1で話すことのなんと少ないこと。

 子どもが「遊ぼうよ」と言うと、「後でね」「これやっちゃったらね」「ちょっと待っててね」・・・。仕事は次から次へとお母さんにはありますから、「後で」は後に回され、結局子どもは遊んでもらえません。

 外へ遊びに行っても、お母さんはお友達とペチャペチャ、子どものことは知らん顔。やっぱり子どもは遊んでもらえません。

 今、お母さんが意識をして時間を作らなければ、子どもと1対1の時はなかなか作れません。子どもが「お母さん、遊んで」と言うのは今だけなのです。

 幼稚園に行けば、子どもはもうお母さんと遊ぶより、お友達との遊びに夢中になりますから、お母さんを必要とすることはどんどん減ってくるのです。

 そして大切なことは、この時期に親子の信頼関係を深めることは、子どもの心を健全に育てるカギになるということです。今しかない時期を大切にしてくださいね。

 

 チューリップぐみでは、『親子のふれあい』を第一に考えています。すべての基礎がそこから始まるからです。お母さんとの関わりが充分に出来た子は、次第に周りに興味を持ちます。お母さんがそこにいて見ていてくれる安心感から、ちょっとだけお母さんから離れてみます。でもすぐにお母さんのところに戻ります。また少し離れてみます。お母さんを見て「ちゃんといるな」と確認し安心すると、少しずつ離れることが出来るようになるのです。

 

 チューリップぐみの講師は、一人一人に個人差があることが判っているので無理はさせません。無理に離さなくっても、子どもが自分で一歩前進できることを知っているからです。

 お母さんとの信頼関係がしっかりできて、初めてお友達へと発展していくのです。お友達と遊ばせたいと思ったら、まずお母さんが子どもと1対1で遊ぶことから始めましょう。

 

 2~3学期に入ると、「子どもだけで遊ばせてみたい」と言うお母さんが出てきますが、チューリップぐみでは親と子と別の活動は考えていません。今、子どもにそこまで望まなくても良いと考えるからです。

 子どもにとって、今、必要なことは、お母さんと遊びながらいろいろな体験を積むことです。順番を待つこと。挨拶をすること。お礼を言うこと。我慢すること。みんなお母さんと一緒だから出来ることです。

 

 

 「楽しく遊ぶためには、ルールがあること」「人に迷惑をかけないためにはどうしたらいいか」など、子どもはお母さんやお友達を見て覚えていきます。

 お母さんが楽しんで遊べば、子どもは絶対喜びます。お母さんがまず楽しんでください。微笑んでください。子どもはきっとチューリップぐみが大好きになります。

 お母さんの人生の中で子どもと一緒に遊べるのは今だけです。子どもが一緒に遊んでくれるのも今だけなのです。

 

 

 チューリップぐみで子どもとの時間を楽しみましょうよ。今しかないこの時を大切にしてください。

 

  平成2年4月1日              

         安藤きよみ